『湖の女たち』 吉田 修一 ***

 

 

湖の女たち

湖の女たち

 

 

琵琶湖近くの介護療養施設で、百歳の男が殺された。捜査で出会った男と女―謎が広がり深まる中、刑事と容疑者だった二人は、離れられなくなっていく。一方、事件を取材する記者は、死亡した男の過去に興味を抱き旧満州を訪ねるが…。昭和から令和へ、日本人が心の底に堆積させた「原罪」を炙りだす、慟哭の長編ミステリ。 (「BOOK」データベースより)

 

事件を調べていくと、戦争犯罪や中国での殺人事件、薬害事件まで話は広がります。また刑事と容疑者の不思議な関係など、これらはどうピースとしてハマっていくのかなと 。推理小説的には不満が残るのですが、不思議な余韻を残し話は終わります。

 

2020-115

 

『夜の声を聴く』 宇佐美 まこと ***

 

夜の声を聴く (朝日文庫)

夜の声を聴く (朝日文庫)

 

 目の前で手首を切った女性に惹かれた隆太は、彼女が通う定時制高校に入学した。やがて、彼は同級生の大吾が働く奇妙な店を手伝い始める。しかし、それは11年前の一家殺人事件に端を発する、歪んだ悲哀が渦巻く世界への入口だった!平穏な日常が揺らぐ衝撃のミステリー。 (「BOOK」データベースより)

 

2020-114

『鬼呼(おによび)の庭 お紗代夢幻草紙 』 三好 昌子 ***

 

鬼呼(おによび)の庭 お紗代夢幻草紙 (PHP文芸文庫)

鬼呼(おによび)の庭 お紗代夢幻草紙 (PHP文芸文庫)

  • 作者:三好 昌子
  • 発売日: 2020/11/06
  • メディア: 文庫
 

庭師「室藤」は、薬種問屋から、暴風雨で荒れた庭普請の依頼を受ける。職人たちの世話をする、室藤の一人娘・お紗代はある日、垣根で隔てられた今は使っていない離れの庭から、子供の声がすることに気がつく。つられて足を運ぶと、そこには真っ赤な鶏頭の花が咲き乱れていた…。家族の確執から遺った念、紛れ込んだあやかしなど、庭に関わる不思議な事件を、お紗代が解決する感動の時代小説。文庫書き下ろし。 (「BOOK」データベースより)

 

鬼滅の刃」は読んだり見たりしてませんが、きっと『鬼呼の庭』の方が面白いような気がする。

 

2020-113

 

『図書館の子』 佐々木 譲 ***

 

図書館の子

図書館の子

  • 作者:佐々木譲
  • 発売日: 2020/07/17
  • メディア: 単行本
 

 1937年の東京。隅田川で拾われた男が病院に運ばれてくる。身元不明の男は記憶を失っていたが、なぜかこれからやってくる戦禍の時代を知っているかのようだった。「遭難者」。とある北の国。猛吹雪の夜、図書館に一人の少年が取り残された。暖房もない極寒の館内。そこに突然現れた謎の男は少年を救い、やがて大切なことを伝え始めた―。「図書館の子」。時とたたかい、時に翻弄される者たちを描く全六編。 (「BOOK」データベースより)

 

タイムトラベラー物の短編集でしたか、佐々木さんの小説はほとんど読んでいますが、この手の短編集は初?かな。タイトルの『図書館の子』に惹かれました。あと音楽好きな佐々木さんがところどころに。

 

2020-112

 

『日没』 桐野 夏生 *

 

日没

日没

  • 作者:桐野 夏生
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: 単行本
 

  あなたの書いたものは、良い小説ですか、悪い小説ですか。小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末は―。 (「BOOK」データベースより)

 

あらあら、こんな本を書きましたか掲載誌をみるとなるほど。『OUT』以来時々読み続けてきましたが、これで終わりにします。

 

2020-111

『死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)』 宇佐美 まこと ***

 

死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)

死はすぐそこの影2020-109の中 (祥伝社文庫)

 

 ピアノ調律師の一藤麻衣子には、秘密があった。愛媛の山奥にある七富利村で過ごした少女時代、村がダムに沈む直前の村長であった伯父日出夫の無惨な死体を、麻衣子は目撃したのだ。その肩には、くっきりと十字の印が焼きついていた…。それは村人が噂する隠れキリシタンの祟りなのか?深い水底に沈んだ村から二転三転して真実が浮かび上がる、戦慄のミステリ。 (「BOOK」データベースより)

 

読者を選ぶ作品かなあ。推理作家協会賞を受賞後に、この作品とは恐れ入ります。最初は読書スピードが上がらなくて期待外れかと思ったのですが後半は一気読みでした。多分殆どの作品を読んでいる作家さんの一人です。

 

2020-110

『武士の家計簿』 磯田 道史 ***

 

 「金沢藩士猪山家文書」という武家文書に、精巧な「家計簿」が例を見ない完全な姿で遺されていた。国史研究史上、初めての発見と言ってよい。タイム・カプセルの蓋を開けてみれば、金融破綻、地価下落、リストラ、教育問題…など、猪山家は現代の我々が直面する問題を全て経験ずみだった!活き活きと復元された武士の暮らしを通じて、江戸時代に対する通念が覆され、全く違った「日本の近代」が見えてくる。(「BOOK」データベースより)

 

 最後のページで「享年七十七歳」であらまあ、間違いとは言えないそうですが。

 

2020-109