『羊は安らかに草を食み』 宇佐美 まこと ***

 

羊は安らかに草を食み

羊は安らかに草を食み

 

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆" があった――
八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!

日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄!

過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。

 

 最後はそんなことはないなあ、と思いつつもそうでないと、報われないなとも。

 

2021-018

 

『極刑』 小倉 日向 **

 

極刑

極刑

  • 作者:小倉 日向
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

お前は消えるべき人間だ。愛娘を殺されながらも極刑を望まなかった半田龍樹は、妻とも別れ、小さな居酒屋を始めた。一見、平穏に流れる日々―。だが、常連客は知らなかった。龍樹の陰の“制裁”を。卑劣な罪を犯しながらも逃げおおせた者を執拗に追跡し、淡々と運命の引き金を引いていく龍樹。黒い血に塗れた両の手は、やがて思いがけない事態を引き寄せてしまう。人間のダークサイドを容赦なく抉り、読後はなぜか救われる衝撃のデビュー作。 (「BOOK」データベースより)

 

登場人物が独特のようで、実はステレオタイプかな。

 

2021-017

 

『祗園会 (新・吉原裏同心抄(四))』 佐伯 泰英 ***

 

祗園会 (新・吉原裏同心抄(四))

祗園会 (新・吉原裏同心抄(四))

  • 作者:佐伯 泰英
  • 発売日: 2021/03/10
  • メディア: 文庫
 

非情な運命に襲われる、二つの町の人々。
命をかけた総力戦へ!

江戸・吉原で、評判の遣り手らが不可解な辞職をし、相次いで姿を消した。
異変の臭いを嗅いだ四郎兵衛ら会所の面々は、その企みの背後を探ろうとする。
一方の京では、ひと月続く華やかな祭礼、祇園会が始まった。
祇園囃子の響く中、幹次郎は、新たな刺客からの脅迫と攻撃に直面する。
大切な町を守るため、総力戦ともいえる戦いが幕を開ける。
慟哭必至のラスト!

 

祇園と吉原の同時進行は、無理があったような。

 

2021-016

 

『愚か者(フリムン)の島』 乾 緑郎 ***

 

愚か者(フリムン)の島

愚か者(フリ2021-014ムン)の島

  • 作者:乾緑郎
  • 発売日: 2021/01/07
  • メディア: 単行本

 

 

 

 

 この島には、人を狂わせる何かが、ある――――
自然主義に傾倒し、原始的な二人きりの生活を夢見る不倫カップル。
息子を引きこもりから脱却させるため、全てを捨ててきた教師一家。
ある野望を胸に、島の買収を画策する女社長と従者。
――そして、恋人を殺して逃げてきた男子大学生。

 

愚か者たちの島ですね。吉田修一「怒り」を思い出しました。この乾さんは私の求める乾さんではありません。ちょっと残念。

 

2021-015

『紅蓮の雪』 遠田 潤子 ***

 

紅蓮の雪

紅蓮の雪

  • 作者:遠田 潤子
  • 発売日: 2021/02/05
  • メディア: 単行本
 

 

伊吹の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を向かえた日、なんの前触れもなく自殺した。朱里の遺品の中から大衆演劇「鉢木座」の半券が見つかり、それが死ぬ前の最後の足取りであることを知った伊吹は、少しでも真相に迫るべく一座の公演に行った。公演後、座長に詰め寄る伊吹の姿を見た若座長の慈丹は、その容姿を見初め、入団を強く進めた。伊吹は何か手がかりが掴めるのではと入団を決意し、以降、訓練と舞台に追われながらも、「女形」としての人気も得始めていた。そんなある日、ひょんなことから両親と鉢木座との繋がりが露見することに。それは鉢木座の過去に秘められた禁断の事実だった……。血脈に刻まれた因縁、人間の最果てと再生を描いた問題作。

 

 ゲップが出るくらいの遠田ワールドでした。まあ面白いので一気読みでしたが、この大衆演劇とか歌舞伎などは苦手なのでついて行くのが大変かなあと。

 

2021-014

 

『青田波 新・酔いどれ小籐次(十九)』 佐伯 泰英 **

 

青田波 新・酔いどれ小籐次(十九) (文春文庫)

青田波 新・酔いどれ小籐次(十九) (文春文庫)

 

江戸で有名な盗人「鼠小僧」は自分だ、とついに明かした子次郎。忍び込んだ旗本の屋敷で出会った盲目の姫君を救って欲しい、と小藤次に頼む。姫を側室にと望んでいるのは、大名・旗本の官位を左右する力を持つ高家肝煎の主で、なんと「幼女好み」と噂のある危険な人物だという…懐剣を携え悲壮な決意をする姫を毒牙から守れるか。 (「BOOK」データベースより)

 

 

2021-013

 

『元彼の遺言状』 新川 帆立 ***

 

本年度の第19回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作は、金に目がない凄腕女性弁護士が活躍する、遺産相続ミステリー! 「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円とも言われる財産の分け前を獲得するべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。一方、麗子は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、避暑地を訪れて手続きを行なったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう――。

 

 読みやすく、どんどんページが進んでいきます。主人公や主要人物の性格もキャラが立っていて引き込まれていくのですが、突然次作は無しだなと思ってしまいました。何故かなあ。読み終わった感想は「頭」では感心しても「ハート」には響かないかな。

 

2021-012