『真夜中のたずねびと』 恒川 光太郎 **

 

 闇はあなたの後ろに、今も佇む――。忍び寄る足音に背筋が寒くなる連作集。次々と語られる、闇に遭遇した者たちの怪異譚。ゲストハウスでほんの一時関わっただけの男から送られてくる、罪の告白。その内容は驚くべきもので……(「さまよえる絵描きが、森へ」)。弟が殺人事件を起こし、一家は離散。隠れ住む姉をつけ狙う悪意は、一体、誰のものなのか(「やがて夕暮れが夜に」)。全五篇。

 

題名がカタカナになったころ、読むのを止めてしまった恒川さん、久しぶりに読みました。カタカナよりはでしたが、恒川さんのような作風はむつかしいですね。いつまでも『夜市』を期待してはいけないのでしょうが。

 

2021-032

『魂手形 三島屋変調百物語七之続』 宮部 みゆき ***

 

 

嘘も真実も善きも悪しきも、すべてが詰まった江戸怪談の新骨頂!

江戸は神田の三島屋で行われている変わり百物語。美丈夫の勤番武士は国元の不思議な〈火消し〉の話を、団子屋の屋台を営む娘は母親の念を、そして鯔背な老人は木賃宿に泊まったお化けについて、富次郎に語り捨てる。

 

タイトルの『魂手形』が良かったです。聞き手が「おちか」のころは「黒白の間」が不気味だったのですが、「富次郎」になって「どこの部屋で聞いても同じ」と思う。聞き手が「富次郎」である必要も?と思ってしまいます。

 

2021-031

『語られなかった皇族たちの真実』 竹田 恒泰 **

 

 05年11月19日、朝日新聞に「旧皇族皇籍復帰 覚悟を 竹田家男性、宮家役割著す」 という見出しで本書の刊行が報じら\\
れた。
以降、著者のもとには新聞、テレビ、雑誌などあらゆるメディアの取材が殺到した。
著者の竹田恒泰は、昭和22年、GHQの占領政策皇籍を離れた十一宮家のひとつ竹田宮家の出身

 

2021-030

『三つ巴 新・酔いどれ小籐次(二十)』 佐伯 泰英 **

 

 商いする大切な舟が古くなり水漏れしてしまったが、新しい舟を作る金の工面に頭が痛い小籐次。舟づくりの名人・「蛙の親方」こと亀吉親方に相談するうち、親方が思い出したのは、かつて小籐次が助けた花火師親子のこと…
人の縁と心意気が繋がって新造された小籐次の舟「研ぎ舟蛙丸」が、江戸の人々を大いに沸かせる!
そんな中、雑な盗みを重ねていた「ニセ鼠小僧」が、ついに人を殺め――

 

2021-029

『幼なじみ 新・居眠り磐音』 佐伯 泰英 **

 

江戸・深川。ある幼馴染の恋と成長の物語――。

深川の唐傘長屋で身内同然に育った幸吉とおそめ。
磐音の長屋暮らしの師匠・幸吉はやがて鰻処宮戸川に奉公し、
また、おそめも縫箔師を目指し当代一の江三郎親方に弟子入りする。

 

2021-028

 

『氷室の華』 篠 たまき ***

 

氷室の華 (朝日文庫)

氷室の華 (朝日文庫)

  • 作者:篠 たまき
  • 発売日: 2021/03/05
  • メディア: 文庫
 

 白姫澤村に住む祖父を訪ねた小学生のユウジは、彼の家系が氷室守だったことを知る。
しかし、氷を保管する洞窟で、氷室守に託されたもう一つの役割を明かされたことから、いつしか彼はよこしまな蒐集を始め……。
妖艶な雰囲気に包み込まれるサスペンスホラー。

 

ホラーは嫌いではないです。氷室の華も許せます。でも痛いのは嫌かな変に水掻きを切り刻むリアルな描写は耐えられないなあ。でも次作も読むなきっと。

 

2021-027

『コロナと潜水服』 奥田 英朗 ***

 

コロナと潜水服

コロナと潜水服

  • 作者:奥田英朗
  • 発売日: 2020/12/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 ある理由で家を出た小説家が、葉山の古民家に一時避難。生活を満喫するも、そこで出会ったのは(「海の家」)。早期退職の勧告に応じず、追い出し部屋に追いやられた男性が、新たに始めたこととは(「ファイトクラブ」)。人気プロ野球選手と付き合うフリー女性アナウンサー。恋愛相談に訪れた先でのアドバイスとは(「占い師」)。五歳の息子には、新型コロナウイルスが感知できる?パパがとった究極の対応策とは(「コロナと潜水服」)。ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れ乗り出すと、不思議なことが次々に起こって(「パンダに乗って」)。コロナ禍の世界に贈る愛と奇想の奥田マジック。紙の本にだけ、作中の登場曲が楽しめるSpotifyのプレイリスト付き!! (「BOOK」データベースより)

 

奥田さんが書いているように、コロナと無責任な報道にさらされている時にほっこりする短編集でした。『コロナと潜水服』には、「その発想はさすが作家」と感心してしまいました。

 

2021-026