『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 川瀬 七緒 ***

 

 東京の高円寺南商店街で小さな仕立て屋を営む桐ヶ谷京介は、美術解剖学と服飾の深い知識によって、服を見ればその人の受けた暴力や病気などまでわかる特殊な能力を身につけていた。そんな京介が偶然テレビの公開捜査番組を目にする。10年前に起きた少女殺害事件で、犯人はおろか少女の身元さえわかっていないという。さらに、遺留品として映し出された奇妙な柄のワンピースが京介の心を捉える。10年前とは言え、あまりにデザインが時代遅れ過ぎるのだ。京介は翌日、同じ商店街にあるヴィンテージショップを尋ねる。1人で店を切り盛りする水森小春に公開捜査の動画を見せて、ワンピースのことを確かめるために。そして事件解明に繋がりそうな事実がわかり、京介は警察への接触を試みるが……。

 

2021-035

 

 

 

『花下に舞う』 あさの あつこ ***

 

 口入屋の隠居と若女房が殺された。北定町廻り同心、木暮信次郎は、二人の驚愕の死に顔から、昔、亡き母が呟いた「死の間際、何を見たのであろうか」という言葉を思い出す。岡っ引、伊佐治、商いの途に生きようと覚悟する遠野屋清之介とともに、江戸に蔓延る闇を暴く。待望の「弥勒」シリーズ最新作!

 

2021-034

『むじな屋語蔵 世迷い蝶次』 三好 昌子 ***

 

 文芸評論家 大矢博子さん、絶賛!「きっと読者にも勇気と力を与えてくれる」“秘密”を預かる奇妙な商いには、驚きと喜びがあった。重荷を抱えて生きる人に寄り添う物語。
京都西町奉行所同心の手先の蝶次は、高瀬川の辺で美女と遭う。「女の訪れた家には死人が出る」閻魔の使い女こと謎の質屋『むじな屋』の主お理久だった。大店の娘から、亡き毋が秘密を預けていた代償として広大な庭を取り上げられる、という阿漕な話を聞いた蝶次は、義憤から化野のむじな屋を訪れるが……。誰しもが抱く悔恨。それでも前を向く勇気と覚悟を描く時代小説。

 

2021-033

 

『真夜中のたずねびと』 恒川 光太郎 **

 

 闇はあなたの後ろに、今も佇む――。忍び寄る足音に背筋が寒くなる連作集。次々と語られる、闇に遭遇した者たちの怪異譚。ゲストハウスでほんの一時関わっただけの男から送られてくる、罪の告白。その内容は驚くべきもので……(「さまよえる絵描きが、森へ」)。弟が殺人事件を起こし、一家は離散。隠れ住む姉をつけ狙う悪意は、一体、誰のものなのか(「やがて夕暮れが夜に」)。全五篇。

 

題名がカタカナになったころ、読むのを止めてしまった恒川さん、久しぶりに読みました。カタカナよりはでしたが、恒川さんのような作風はむつかしいですね。いつまでも『夜市』を期待してはいけないのでしょうが。

 

2021-032

『魂手形 三島屋変調百物語七之続』 宮部 みゆき ***

 

 

嘘も真実も善きも悪しきも、すべてが詰まった江戸怪談の新骨頂!

江戸は神田の三島屋で行われている変わり百物語。美丈夫の勤番武士は国元の不思議な〈火消し〉の話を、団子屋の屋台を営む娘は母親の念を、そして鯔背な老人は木賃宿に泊まったお化けについて、富次郎に語り捨てる。

 

タイトルの『魂手形』が良かったです。聞き手が「おちか」のころは「黒白の間」が不気味だったのですが、「富次郎」になって「どこの部屋で聞いても同じ」と思う。聞き手が「富次郎」である必要も?と思ってしまいます。

 

2021-031

『語られなかった皇族たちの真実』 竹田 恒泰 **

 

 05年11月19日、朝日新聞に「旧皇族皇籍復帰 覚悟を 竹田家男性、宮家役割著す」 という見出しで本書の刊行が報じら\\
れた。
以降、著者のもとには新聞、テレビ、雑誌などあらゆるメディアの取材が殺到した。
著者の竹田恒泰は、昭和22年、GHQの占領政策皇籍を離れた十一宮家のひとつ竹田宮家の出身

 

2021-030

『三つ巴 新・酔いどれ小籐次(二十)』 佐伯 泰英 **

 

 商いする大切な舟が古くなり水漏れしてしまったが、新しい舟を作る金の工面に頭が痛い小籐次。舟づくりの名人・「蛙の親方」こと亀吉親方に相談するうち、親方が思い出したのは、かつて小籐次が助けた花火師親子のこと…
人の縁と心意気が繋がって新造された小籐次の舟「研ぎ舟蛙丸」が、江戸の人々を大いに沸かせる!
そんな中、雑な盗みを重ねていた「ニセ鼠小僧」が、ついに人を殺め――

 

2021-029