『アンジュと頭獅王』吉田 修一 **

声に出して読みたくなる、圧巻の大冒険!

吉田修一の新境地ともいえる本書は、誰かのために生きる時代を模索する今だからこそ蘇る、二十一世紀版山椒太夫。古典の名作『山椒太夫』をベースに、上古も今も末代も、慈悲の心の尊さとはいかに、を現代に問う問題作だ。
あの安寿と厨子王が千年の時空を超えて繰り広げる、善の執着と悪の執着を描く大冒険は、文字を追うごとに、思わず声に出して読みたくなる圧巻の言葉とリズムにあふれている。

 

本を読み始めるまでは、できるかぎり予備知識なしと決めているので、これは意表をつかれた感じで、レビューの書きようがありません。確実に書けることはこんな吉田修一はいらないな。ということ。

 

2019-151