2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『坂の途中の家』角田光代 ***

角田さんの本を読むと、その文才に圧倒されます。読むためには相応の心の準備が必要な作家さんです。同時に角田さんでも、やはりご自分の半径何百メートルの話になってしまうのかなあと残念にも思います。

『戦場のコックたち』深緑野分 **

全体に長いので、前半はだれてしまった。卵の盗難はどうでしょう、そんな事かよと突っ込みたくなりました。後半も推理小説でしか成立しないパターンなので読み終えて「ありえないでしょ」という推理小説についてありがちな感想です。読ませる技術は素晴らし…

『よこまち余話』 木内昇 ***

木内さんの作品のなかでも一番かもしれない。彼岸と此岸を結ぶ「よこまち」の様子が、上品な筆致で描かれていく。『茗荷谷の猫』を思い出しました。『櫛挽道守』から一年以上まった甲斐がありました。次はどんな世界をみせてくれるのかな。

『ハーメルンの誘拐魔』 中山七里 ***

社会問題についての感想はありません。専門家が解説するのではなく推理作家が書いたものに感心するほど私は素直ではありません。肯定か否定かではなく、「推理作家ごときが」という気分です。 さて推理小説のできは、ちょっと残念な仕上がりかなと思いました…