2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『遣手―吉原裏同心(六)』 佐伯泰英 ***

新角楼で遣り手のおしまが何者かに殺され、金子が紛失した。吉原会所の用心棒・神守幹次郎は、おしまの息子と振袖新造を下手人と突きとめ、始末をつけた。その後、幹次郎は、おしまの生まれ在所に遺髪を届けたいという会所の頭取と妓楼主に同道。信濃国へ向…

『赤朽葉家の伝説』 桜庭一樹 *

“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。―千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者…

『月の満ち欠け』 佐藤正午 ***

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。…

『桃ノ木坂互助会』 川瀬七緒 ***

のどかだった町は、すっかり変わってしまった―。移り住んできたよそ者たちの度重なるトラブルに頭を抱えていた桃ノ木坂互助会会長の光太郎。元海自曹長でもある彼は、悪い芽は早く摘まねばと、町に害を及ぼす人物を仲間たちとともに次々と町から追放すること…

『初花―吉原裏同心(五)』 佐伯泰英 ***

神守幹次郎と妻の汀女が吉原会所に雇われてから、一年数ヶ月が過ぎた。弥生三月、吉原で一番晴れやかな季節の中、咲き誇る桜の下を行く花魁道中。見栄と張りと粋で生きている里にも悪の影が忍び寄る。籠の鳥の遊女たちを騙す悪漢に立ち向かう幹次郎の豪剣。…

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上』 スティーグ・ラーソン ***

月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが…

『アメリカ彦蔵』 吉村昭 **

嘉永三年、十三歳の彦太郎(のちの彦蔵)は船乗りとして初航海で破船漂流する。アメリカ船に救助された彦蔵らは、鎖国政策により帰国を阻まれ、やむなく渡米する。多くの米国人の知己を得た彦蔵は、洗礼を受け米国に帰化。そして遂に通訳として九年ぶりに故国…

『手習重兵衛 - 闇討ち斬』 鈴木英治 **

(「BOOK」データベースより)江戸白金で行き倒れとなった重兵衛は、頑健な体躯とくっきりとした目鼻立ちを持つ二十三歳の浪人だ。手習師匠・宗太夫は、わけありの彼に何も聞かず居候させてくれる。子供らに囲まれ平穏な日々を送る重兵衛だったが、同郷の者…

『歌舞伎町怪談』 岩井志麻子 *

ホラーの女王が大暴走!世界最大のフーゾク都市・新宿歌舞伎町での私生活を自虐的なまでに晒し、ベトナム、韓国、ニッポン、世界を股に挟んだ「三都物語」を描ききる。仲間の醜態、性癖も大暴露。家族や恋人との切なく哀しいエピソードまでてんこ盛り―。『志…

『用もないのに』 奥田英朗 ***

ニューヨーク、北京、そのへん。ものぐさ作家がお出かけすれば、なぜかいつも珍道中。(「BOOK」データベースより)小説から受ける印象とのギャップがおもしろい。2017-084

『遠い国からの殺人者』 笹倉明 ***

「男の人が倒れている」110番通報の女の声には妙ななまりがあった―。逃走した外国人ストリッパーの身に一体何が起こったのか。彼女はなぜ真の素性を偽らなければならなかったのか。法廷での関係者の供述から次第に明らかにされていく、経済大国ニッポンの底…

『清掻―吉原裏同心〈4〉』 佐伯泰英 ***

吉原面番所に新任の同心が配属され、突如、会所の閉鎖を命じてきた。廓の治安を守る用心棒・神守幹次郎たちが大門外に去ったため、引ったくりや掏摸が横行し、吉原は危地に陥る。同心の専横の背後には、廓内の利権を狙う一橋治済卿の影がちらつく。やがて幹…

『嘘ですけど、なにか?』 木内 一裕 *

やっと出会えたはずの高級官僚の男は、新幹線爆破テロの発生直後から様子がおかしくなる。怪しんだ彼女が警察に通報すると、待っていたのは自分自身の逮捕だった。「君の言うことは、もう誰も信じない」木内一裕10作目は、完全エンターテインメント大作!(「…

『不機嫌な姫とブルックナー団』 高原英理 **

図書館の非正規職員として働くゆたきは、コンサート会場で「ブルックナー団」を名乗るオタク3人組に声をかけられる。その一人、タケがサイトに書き継ぐ「ブルックナー伝(未完)」を読んだゆたきは、意外な面白さに引き込まれていく。19世紀ウィーンを代表する…

『墨攻』 酒見賢一 **

戦国時代、守りの哲学を以て、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落としていった謎の集団、墨子教団。その戦術とは、そして弱点は何だったか―。「後宮小説」に続き、中国のエッセンスを息もつかせぬエンターテイメントに作り上げた、若き鬼才…

『見番―吉原裏同心〈3〉』 佐伯泰英 ***

天明六年、将軍家治の逝去で老中・田沼意次が失脚、吉原遊廓も営業停止となった。そんな折、廓内で立て続けに二人の女が殺された。会所の頭領・四郎兵衛の命を受けた用心棒・神守幹次郎は、残された手掛かりから犯人を突き止め、成敗する。一件落着かに見え…

『フィリピンパブ嬢の社会学』 中島弘象 ***

「アイシテルヨ~」の笑顔のかげに、凄まじい人生があった。フィリピンパブを研究するうちに、あるパブ嬢と付き合うようになった筆者は、その奴隷同然の暮らしを目の当たりにする。月給6万円、偽装結婚、ゴキブリ部屋に監視付、休みは月に2回だけ…そしてある…

『無貌の神』 恒川光太郎 ***

この世ならざる和風情緒が漂う表題作ほか、流罪人に青天狗の仮面を届けた男が耳にした後日談、死神に魅入られた少女による七十七人殺しの顛末、人語を話す囚われの獣の数奇な運命…暴力と不条理にあふれた世界に生きるやるせなさを幻想的にあぶり出す、大人の…

『誘拐ラプソディー』 荻原浩 ***

スリルとサスペンス、ユーモアとペーソス、エンターテインメント小説のすべての要素がてんこ盛りにかかわらず、胸やけするどころか胸がジーンとなること必至。本書を読まずして「誘拐ラプソディー」は語れない。今世紀最高のコミック・ノヴェル!(「BOOK」…