2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『デトロイト美術館の奇跡』 原田マハ ***

ゴッホ、セザンヌ、マティス。綺羅星のようなコレクションを誇る美術館が、市の財政難から存続の危機にさらされる。市民の暮らしと前時代の遺物、どちらを選ぶべきか?全米を巻き込んだ論争は、ある男の切なる思いによって変わっていく―。アメリカの美術館で…

『緑衣のメトセラ』 福田和代 **

都内にある高級老人ホーム「メゾンメトセラ」。ガンの発生率が高いという噂を幼馴染みの千足から聞き、フリーライターの小暮アキは興味を抱く。併設される不破病院では、ガンの最新研究が進められていた。そんな中、不破病院でアルバイトを始めた千足が、不…

『銀座のカラス〈下〉』 椎名誠 ***

デパート業界誌の編集長になった松尾の生活は、慌ただしくも充実していた。酒場でケンカをして留置場に入れられたり、麻雀で大負けもしたけれど、仕事は何とか軌道に乗りつつあった。親友の町田を通じて知り合った海老名千鶴の存在も、心の支えとなっていた…

『銀座のカラス〈上〉』 椎名誠 ***

松尾勇は小さな業界新聞社のサラリーマン。勤め始めて約一年の新米編集者だ。ところが前任者が突然退社した為に、なんといきなり編集長になってしまった。といっても部員は自分だけ。経験がない上に部下もいないなんて…。だが、やるしかない。やるしかないの…

『午後二時の証言者たち』 天野節子 ***

誰が少女を殺したのか。数行の三面記事に隠された証言者たちの身勝手な事情。他人事、ではもう済まされない。平凡な日常が壊れる瞬間を描いた慟哭のミステリー。 (「BOOK」データベースより)短編集かと思ったが……。久しぶりに読み応えもあるミステリーを読…

『火災調査官』 福田和代 **

放火現場には必ず、ダ・ヴィンチの模写絵が残されていた。火に魅せられた火災調査官と、正義感あふれるポンプ車小隊長。ふたりが追う、連続放火事件の謎。緻密な取材と圧倒的なリーダビリティで描く、新境地にして渾身の長編ミステリ。 (「BOOK」データベー…

『戦国24時 さいごの刻(とき)』 木下昌輝 ***

時を惑い。時を追われ。時を喰らう。時代小説界若手の実力者が、歴史の大事に至るまでの一日を濃密に描く、6つのどんでん返し!大坂夏の陣で、豊臣秀頼が死ぬまでの24時間。伊達政宗が父、輝宗を射殺するまでの24時間。桶狭間にて、今川義元討ち死にまでの24…

『光炎の人 (下)』 木内昇 **

大阪の工場ですべてを技術開発に捧げた音三郎は、製品化という大きなチャンスを手にする。だが、それは無惨にも打ち砕かれてしまう。これだけ努力しているのに、自分はまだ何も成し遂げていない。自分に学があれば違ったのか。日に日に強くなる音三郎の焦り…

『光炎の人 (上)』 木内昇 **

時は明治。徳島の貧しい葉煙草農家に生まれた少年・音三郎の運命を変えたのは、電気との出会いだった。朝から晩まで一家総出で働けども、食べられるのは麦飯だけ。暮らし向きがよくなる兆しはいっこうにない。機械の力を借りれば、この重労働が軽減されるは…

『ポイズンドーター・ホーリーマザー』 湊かなえ **

女優の藤吉弓香は、故郷で開催される同窓会の誘いを断った。母親に会いたくないのだ。中学生の頃から、自分を思うようにコントロールしようとする母親が原因の頭痛に悩まされてきた。同じ苦しみを抱えた親友からの説得もあって悩んだのだが…。そんな折、「毒…

『ながい坂 (下巻)』 山本周五郎 ***

異例の出世をした主水正に対する藩内の風当たりは強く、心血をそそいだ堰堤工事は中止されてしまうが、それが実は、藩主継承をめぐる争いに根ざしたものであることを知る。“人生"というながい坂を人間らしさを求めて、苦しみながらも一歩一歩踏みしめていく…

『ながい坂 (上巻)』 山本周五郎 ***

徒士組という下級武士の子に生まれた小三郎は、八歳の時に偶然経験した屈辱的な事件に深く憤り、人間として目ざめる。学問と武芸にはげむことでその屈辱をはねかえそうとした小三郎は、成長して名を三浦主水正と改め、藩中でも異例の抜擢をうける。若き主君…

『蓮の数式』 遠田潤子 ***

不妊治療で婚家から孤立する女が出会ったのは自らの生い立ちと算数障害に悩む男。私たちは不良品じゃない。愛を忘れた女と愛を知らない男の逃避行がはじまる。 (「BOOK」データベースより)読み出したら止まらなかった。しかし、気味の悪い旦那だ。