2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『雪の香り』 塩田武士 ***

舞台は京都。新聞記者・恭平は捜査情報の中に、十二年前に失踪した学生時代の恋人・雪乃の名前を見つけ、驚愕する。なぜ彼女は消えたのか?取材を進める中で浮かび上がる雪の秘密。そして物語は運命の日、祇園祭の宵山へ…。気鋭の著者が「書き終えたくない」…

『あひる』 今村夏子 ***

読み始めると心がざわつく。 何気ない日常の、ふわりとした安堵感にふとさしこむ影。 淡々と描かれる暮らしのなか、綻びや継ぎ目が露わになる。あひるを飼うことになった家族と学校帰りに集まってくる子供たち。一瞬幸せな日常の危うさが描かれた「あひる」…

『土の記(下)』 高村薫 ***

雨の下でにわか農夫はじっと息を殺し、晴れれば嬉々として田んぼへ飛び出す。大宇陀の山は今日も神武が詠い、祖霊が集い、獣や鳥や地虫たちが声高く啼き合う。始まりも終わりもない、果てしない人間の物思いと、天と地と、生命のポリフォニー。 (「BOOK」デ…

『土の記(上)』 高村薫 ***

東京の大学を出て関西の大手メーカーに就職し、奈良県は大宇陀の旧家の婿養子となった伊佐夫。特筆すべきことは何もない田舎の暮らしが、ほんとうは薄氷を踏むように脆いものであったのは、夫のせいか、妻のせいか。その妻を交通事故で失い、古希を迎えた伊…

『きつねのはなし』 森見登美彦 *

京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こ…

『孤虫症』 真梨幸子 ***

全身に紫色の瘤が出来、死亡する奇病が発生。失踪した主婦の行方は?メフィスト賞受賞のホラーミステリー。(「BOOK」データベースより)第32回メフィスト賞受賞のホラーミステリ。らしいなあメフィスト賞か。最後に丁寧な説明をされると『ちゃぶ台返し」とい…

『娼婦たちの暦』 津村節子 ***

『娼婦たちの暦』 津村節子 *** さまざまな事情から、夜ごと男たちに身を委ね、弄ばれ、肉体を切り売りしなければ生きていけない、哀れな女たち。外人相手の私娼お七、吉原に売られ、初めて客をとるかな、前借金2千円、年季5年で港町の廊に売られたちよ、進…

『海鳴』 津村節子 ***

無罪無宿で佐渡金山に人足として送られた直吉と、貧しさゆえに花街に身を沈めた花衣。絶望だけに生きる二人が出逢い、再会を夢みて一年を生きぬいたが…。ただ二回きりの逢瀬で二人が決めた哀しい決意とは。苛酷な運命に流される男女の姿を通して、真実の愛を…

『信長の棺』 加藤廣 **

本能寺の変後、信長はどこへ消えたか―。光秀謀反にちらつく秀吉の陰謀。阿弥陀寺の僧侶が握る秘密の鍵。そして、主人公・太田牛一が最後につかんだ驚愕の事実とは。日本史最大の謎に挑んだ本格歴史ミステリー。(「BOOK」データベースより)後半読書スピード…

『傷だらけのカミーユ』 ピエール・ルメートル ***

『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』のヴェルーヴェン警部シリーズ最終作。 『その女アレックス』に続き、イギリス推理作家協会インターナショナル・ダガー賞受賞!カミーユ警部の恋人が強盗事件に巻き込まれ瀕死の重傷を。彼女を守るため警部は独断で…

『がん消滅の罠 完全寛解の謎』 岩木一麻 ***

治るはずのないがんは、なぜ消滅したのか―余命半年の宣告を受けたがん患者が、生命保険の生前給付金を受け取ると、その直後、病巣がきれいに消え去ってしまう―。連続して起きるがん消失事件は奇跡か、陰謀か。医師・夏目とがん研究者・羽島が謎に挑む!医療本…

『目線』 天野節子 **

閑静な高級住宅街に佇む堂島邸には、主人である新之助の誕生祝いのため、家族や友人ら11人が集っていた。だが、「めでたい発表がある」と言っていた新之助は、自室のベランダから飛び降り、亡くなってしまう。その死は、自殺として処理されたが、飛び降りる…

『杏のふむふむ』 杏 ***

ラブラドールのハリーと過ごした小学校時代、歴女の第一歩を踏み出した中学時代、単身海外にモデル修業に行った頃、決死の山登り“成人式”。そして、ゴルフをし、野球をし、本を語り、「名前をなくした女神」「妖怪人間ベム」などさまざまな現場で感じたこと…

『トキオ』 東野圭吾 **

男は父親になっていく。「彼」との出会いによって。1979年、浅草。時を超えた奇跡の物語。俺は、あんたの息子なんだよ、宮本拓実さん。未来から来たんだ。あと何年かしたら、あんたも結婚して子供を作る。その子にあんたはトキオという名前をつける。その子…

『望み』 雫井脩介 ***

東京のベッドタウンに住み、建築デザインの仕事をしている石川一登と校正者の妻・貴代美。二人は、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に、家族四人平和に暮らしていた。規士が高校生になって初めての夏休み。友人も増え、無断外泊も度々するようになったが…