2018-01-01から1年間の記事一覧

『いつか陽のあたる場所で』 乃南 アサ ***

小森谷芭子29歳、江口綾香41歳。ふたりにはそれぞれ暗い過去があった。絶対に人に知られてはならない過去。ふたりは下町の谷中で新しい人生を歩み始めた。息詰まる緊張の日々の中、仕事を覚え、人情に触れ、少しずつ喜びや笑いが出はじめた頃―。綾香が魚屋さ…

『破落戸 あくじゃれ瓢六』 諸田 玲子 ***

大火で恋女房のお袖を失ってから五年。度重なる恋人や仲間との別れに生きる気力を失い、隠棲していた瓢六も、盟友・篠崎弥左衛門と再会し、再び悪に立ち向かうべく動きだした。時は幕末、水野越前守を後ろ盾に悪行を働く南町奉行の“妖怪”こと鳥居甲斐守との…

『四人組がいた。』 高村 薫 **

元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さん。儲け話と、食い物に目のない老人四人組は、集会所に集まっては、日がな一日茶飲み話を。だがそこへ、事情を知ってか知らぬか、珍客がやって来て―。タヌキのアイドルに、はたまたキャベツの大行進。最後には…

『人喰観音』 篠たまき ***

分限者の薬種問屋に拾われた女、スイ。並外れて美しく豊饒な肉体を持つ彼女は、人の形をして人にあらざる「観音様」だった。―穀潰しの惣領息子と出戻りの老媼。―男を好む旦那様と忠節を尽くす石女。―姦淫された箱入り娘と不器量な妹。スイと因縁関わり合う男…

『それでも空は青い』 荻原 浩 ***

人と人の組み合わせの数だけ、物語がある―― 読めば心が軽くなる傑作集!バーテンダーの僕は、骨折で入院した先の看護師の彼女に恋をした。退院後、何度かバーを訪ねてくれたものの、バツイチ7歳年上の彼女との距離はなかなか縮まらない。なぜなら彼女は“牛男”…

『夏の雪 新・酔いどれ小籐次(十二)』 佐伯 泰英 ***

小籐次父子は公方様に拝謁し、見事な芸を披露して喝采を浴びた。数日後、小籐次は駿太郎の乳母を務めたおさとと再会する。彼女の舅は名人と呼ばれる花火師だったが怪我を負って引退し、さらに余命数か月という。半端な花火職人の義弟が作った花火を舅に見せ…

『血の雫』 相場 英雄 **

都内で発生した連続殺人事件。凶器が一致したものの被害者同士に接点がなく、捜査は難航する。警察への批判が高まる中、「ひまわり」と名乗る犯人がネットメディアに犯行声明を出したことにより、あらゆる人間を巻き込んで事件の熱狂は加速していく―。世界同…

『椿落つ 新・酔いどれ小籐次(十一)』 佐伯 泰英 ***

小藤次は、久慈屋昌右衛門との伊勢道中で知り合った三吉と再会したが、彼は酒飲みで乱暴者の父親のもとで苦労していた。職人になりたいという三吉に力を貸そうとするそんな折、父親が殺された。下手人は三吉を我が物にしようとする「強葉木谷の精霊」一味。…

『ウォーターゲーム』 吉田 修一 **

敵か味方か、嘘か真実か、善か悪か―!?金の匂いに敏感な男女が、裏切りあい、騙しあいながら“今”を駆け抜ける!(「BOOK」データベースより) 『太陽は動かない』→『森は知っている』→『ウォーターゲーム』と読んできたのですが、このシリーズは私の期待する吉…

『昨日がなければ明日もない』 宮部 みゆき ***

杉村三郎vs.“ちょっと困った”女たち。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザー。『希望荘』以来2年ぶりの杉村シリーズ第5弾! (「BOOK」データベースより) 杉村三郎百物語かなあ。三郎の回りの個性豊かな人々と…

『隻眼の少女』 麻耶 雄嵩 *

山深き寒村で、大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に巻き込まれる。犯人と疑われた静馬を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女探偵・御陵みかげ。静馬はみかげとともに連続殺人事件を解決するが、18年後に再び惨劇が…。日本推理作家協会賞と本格ミステリ大…

『げんげ 新・酔いどれ小籐次(十)』 佐伯 泰英 ***

北町奉行所の年番与力が、小籐次に面会を求めてきた。極秘の依頼があるらしい。その晩遅く、酔った小籐次が嵐のなか望外川荘に帰ろうとするのが目撃される。だが翌朝、小籐次は帰宅しておらず、小舟や蓑などだけが発見された。奉行所の依頼とは何だったのか…

『船参宮 新・酔いどれ小籐次(九)』 佐伯 泰英 ***

小籐次は久慈屋の大旦那・昌右衛門に同道を請われ、手代の国三を供に伊勢神宮へと旅立った。昌右衛門はなにか心に秘すことがあるようだが、なかなか小籐次にも心の内を語らない。 小籐次一行は大井川で川止めにあい、島田宿に留まることを余儀なくされるが、…

『夢三夜 新・酔いどれ小籐次(八)』 佐伯 泰英 ***

正月。小籐次は望外川荘で新年の膳を囲んだほか、おりょうの実家に駿太郎も連れて挨拶に行き、さらには久慈屋でも祝い酒を頂戴するなど宴席続きだった。そんな中、昨年来、同行を求められている伊勢参りについて昌右衛門と相談したが、どうも昌右衛門の歯切…

『大晦り 新・酔いどれ小籐次(七)』 佐伯 泰英 ***

落馬して打撲傷を負った小籐次は、久慈屋夫妻、おりょうとともに熱海に湯治に行ったことで恢復し、以前と変わらぬ生活を送れるようになっていた。 そんなある日、瀬戸物町で火事騒ぎが起こり、そのさなかに料理茶屋の娘が行方知れずになった。そもそも火事騒…

『らくだ 新・酔いどれ小籐次 (六)』 佐伯 泰英 ***

江戸っ子に大人気のらくだの見世物。駿太郎にせがまれて、小籐次もおりょうやお夕一家とともに見物に出向いた。そのらくだが二頭、何者かに盗まれたうえに身代金を要求された!興行主に泣きつかれた小籐次はらくだ探しに奔走するが、思いがけず己の“老い”に直…

『柳に風 新・酔いどれ小籐次(五)』 佐伯 泰英 ***

新兵衛長屋界隈で、赤目小籐次を尋ねまわる怪しい輩がいるという。小籐次ネタを他所の読売屋にかすめ取られていた空蔵は、これは大ネタに化けるかもしれないと探索を引き受けた。そして小籐次と因縁のある秩父の雷右衛門が絡んでいると調べ上げたが、そこで…

『姉と弟 新・酔いどれ小籐次 (四)』 佐伯 泰英 ***

小籐次一家との身延山久遠寺への代参旅から戻ったお夕は、父のもとで錺職修業を始めた。だが父を師匠とする関係に、お夕は思い悩む。一方、駿太郎は実父・須藤平八郎の埋葬場所が判明し、小籐次から墓を建てるよう提案される。姉と弟のような二人を小籐次は…

『神隠し 新・酔いどれ小籐次(一)』 佐伯 泰英 ***

わけあって豊後森藩を脱藩し、研ぎ仕事で稼ぎながら長屋に暮らす赤目小籐次。ある夕、長屋の元差配・新兵衛の姿が忽然と消えた。さらに数日後、小籐次の養子・駿太郎らが拐しにあった。一連の事件は小籐次に恨みがある者の仕業なのか。小籐次は拐しに係わっ…

『ドライブインまほろば』 遠田潤子 **

奈良県南部の秘境の村を通る峠越えの旧道沿いで、細々と営業を続ける「ドライブインまほろば」。ある日、憂と名乗る少年が幼い妹を連れて現れ、「夏休みが終わるまでここに置いてください」と懇願する。一人娘を喪った過去を持つ店主の比奈子は、逡巡の末、…

『見返り検校』 乾 緑郎 ***

将軍綱吉の世で鍼灸道を確立し御典医に名を連ねた検校・杉山和一。彼にはしかし、安眠を許さぬ三つの悪夢があった。仇敵と狙われての東海道。逃れても逃れても追手は迫る。そして辿りついたのは江の島弁天。この地が、ゆくりなくも鍼灸道の原点となった…。和…

『桜吹雪 新・酔いどれ小籐次(三)』 佐伯 泰英 ***

近ごろ呆けの進んだ新兵衛が妙な間合いで「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えるため、みんなは困り果てていた。身延山久遠寺に詣でたことがあり、それを思い出しているらしい。どうにかしようと、孫のお夕の付き添いで小籐次はおりょう、駿太郎とともに代参の…

『願かけ 新・酔いどれ小籐次(二) 』 佐伯 泰英 ***

近ごろ、小籐次が研ぎ仕事をしていると、その姿に手を合わせ念仏を唱え柏手を打つ者、さらには賽銭を投げる者が続出する。周囲は面白がるが、小籐次は店仕舞いを余儀なくされた。一方おりょうの芽柳派では、門弟の間で諍いが起き、おりょうを悩ませる。ふた…

『師匠、御乱心! 』 三遊亭 円丈 ***

「もう決めた、あたしゃ、伝家の宝刀を抜く!」昭和五十三年、名人・三遊亭円生が、落語協会の方針に異を唱え、一門を率いて協会を脱退するという大事件が起こった。一番驚いたのは、他ならぬ円生の弟子たちである。寝耳に水の師匠の決断。寄席への出演も差し…

『少女たちは夜歩く』 宇佐美 まこと ***

狂気の恋に落ちた女子高生、奇妙な絵の修復を依頼された女、不治の病に冒された男、謎のケモノと出会った少年、死んだ人間が見える女…街の中心にある城山の魔界にからめとられ、闇に彷徨う人々。悪夢を見た彼らに救いの時は訪れるのか―ミステリーからホラー…

『状箱騒動 酔いどれ小籐次(十九)決定版』 佐伯 泰英 ***

文政三年冬。小藤次とおりょうは、うづと太郎吉の仲人を務め終えると、水戸藩に新たな竹細工を伝授するため旅立った。だが案内役の小姓頭・太田静太郎と街道筋を進むと、葵の御紋が入った藩主の状箱が強奪されるという事件と遭遇する。誰が何の目的でそんな…

『政宗遺訓 酔いどれ小籐次(十八)決定版』 佐伯 泰英 ***

秋雨が十日も続き、仕事にあぶれた住民たちが食べ物にも事欠くようになった新兵衛長屋で、炊き出しが行われることになった。その会場の空き部屋で、勝五郎が金無垢の根付を見つけた。元の住人は夜鷹の女、しかも部屋には家探しした跡がある。小藤次は根付の…

『祝言日和 酔いどれ小籐次(十七)決定版』 佐伯 泰英 ***

駿太郎が夏風邪をひいた。幸い大事には至らなかったが、そんな折、小籐次は公儀の筋から相談を持ちかけられる。駿太郎の看病で研ぎ仕事がおろそかになり、御用の手助けは控えたかったが、すでに外堀は埋められているようだ。久慈屋の娘おやえと番頭の浩介の…

『旧主再会 酔いどれ小籐次(十六)決定版』 佐伯 泰英 ***

かつて仕えた森藩の呼び出しに応じ、旧主・久留島通嘉と面会した小籐次は、思いがけず若き日の悪さ仲間だった松野藩藩主・松平保雅の窮地を救うよう依頼された。保雅と再会した小籐次は、保雅がお家騒動に巻き込まれ、嫡男が人質になっていることを知る。旧…

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (下) 』 ダヴィド ラーゲルクランツ ***

NSAのネットワークに侵入したのはリスベットだった。彼女はある目的のため、この犯罪組織を追っていたのだ。犯罪組織のリーダーはサノスと呼ばれていた。一方ミカエルは、セルネル社が『ミレニアム』編集部から彼を追い出そうとしていることを知るが、さらに…