2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『謎の独立国家ソマリランド』 高野秀行 *

第35回(2013年)講談社ノンフィクション賞受賞 第3回梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞 BOOK OF THE YEAR2013 今年最高の本 第1位(dacapo) 本屋さん大賞ノンフィクション部門 第1位(週刊文春) . 久しぶりに怒りが沸いた読書になった。 北斗の拳とかラピュタとか、…

『無名』 沢木耕太郎 ***

一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。そんな父が、ある夏の終わりに脳の出血のため入院した。混濁してゆく意識、肺炎の併発、抗生物質の投与、そして在宅看護。病床の父を見守りながら、息子は無数の記憶を掘り起こし、その無名の人生の軌跡を辿…

『天下一の軽口男』 木下昌輝 ***

時は江戸時代中期。大坂の生國魂神社の境内には、芝居小屋や見世物小屋が軒を連ね、多種多様な芸能が行われていた。笑話の道を志した米沢彦八は、役者の身振りや声色を真似る「仕方物真似」、滑稽話の「軽口噺」などが評判となり、天下一の笑話の名人と呼ば…

『炎上チャンピオン』 横関大 *

「もう一度、夢を見させてやる」エンタメが禁止された世界で、世論に負けた男たちは、起死回生のギミックに挑む。 (「BOOK」データベースより)横関大さんの三冊目。さすがにおなじパターンは飽きがきます。題材もプロレスという苦手なジャンルなので途中で…

『銀簪の翳り』 川田弥一郎 ***

刃傷死、火焼死、毒薬死、馬踏死、雷震死…人の死に方は三十二。薬種問屋の愛欲の果て、四つの死体が訴える。「私はどうして死んだの?」 江戸の検屍官が走る、『週刊読売』連載小説の単行本化。 (「BOOK」データベースより)登場人物が多く、最後に明かされ…

『横浜1963』 伊東潤 **

東京オリンピックの開催を翌年に控え、横浜は活気に満ちていた。そんな時、横浜港で若い女性の死体が発見される。死体にはネイビーナイフの刺し傷、爪の間には金髪が残っていた。立ちはだかる米軍の壁に事件は暗礁に乗り上げたが、神奈川県警外事課の若い警…

『さまよう刃』 東野圭吾 **

蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。遺族に裁く権利はあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?いつものパターンで…

『ゆらやみ』 あさのあつこ **

石見銀山で育ったお登枝は身寄りもなくまもなく女郎になる。客をとる前夜、お登枝は堪えきれず密かに想いを寄せていた銀掘の伊夫の許へと逃げるが男に後をつけられて―。幕末の石見銀山で出逢った山の神に愛された若き女郎と銀を掘る少年。罪に手を染めても、…

『祈りの幕が下りる時』 東野圭吾 **

第48回吉川英治文学賞悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが…

『ぶっかけ飯の快感』 小泉武夫 ***

丼に盛った熱々のご飯に、好みの汁をぶっかけて、ザザッとかっ込む。これぞ安くて旨い「BCD級グルメ」の醍醐味。他に茶漬け、鍋物、麺類、魚の粗料理などなど、「鉄の胃袋」の異名を持つコイズミ博士が、これでもかと垂涎のメニューを繰り出す。舌を肥やし、…

『ダークルーム』 近藤史恵 *

シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、不審に思った内山が問いかけると、女は意外な事実を語り出して…(「マリアージュ」)。立ちはだかる現実に絶望し、窮地に立たされた人間たちが取…

『江戸の検屍官 闇女』 川田弥一郎 ***

「悪事を見落とさぬように、兎に帽子を被せぬように」。真相を求め、冤罪を嫌う、北町奉行所の同心にして検屍官、北沢彦太郎の前に、不可解な死体が続々現れる。自殺か他殺か、どちらとも取れる状況の中、女好きだが有能な医師の玄海、女絵師のお月らと共に…

『寄居虫女』 櫛木理宇 **

平凡な家庭の主婦・留美子は、ある日玄関先で、事故で亡くした息子と同じ名前の少年と出会い、家に入れてしまう。後日、少年を追って現れたのは、白いワンピースに白塗りの厚化粧を施した異様な女。少年の母だという女は、山口葉月と名乗り、やがて家に「寄…

『ミツハの一族』 乾ルカ **

未練を残して死んだ者は鬼となり、井戸の水を赤く濁す。そのままでは水源は涸れ、村は滅んでしまう。鬼となった者の未練を解消し、常世に送れるのは、“ミツハの一族”と呼ばれる不思議な一族の「烏目役」と「水守」のみ。黒々とした烏目を持つ、北海道帝国大…

『十六夜荘ノート』 古内一絵 ***

ひとり静かにこの世を去った大伯母から、高級住宅街にある古い洋館を遺された雄哉。思わぬ遺産に飛びつくが、なぜか屋敷は「十六夜荘」という共同住宅になっていた…。社会からドロップアウトした変わり者たち―40代無職のバックパッカー、ダイ出身の謎の美女…

『橋を渡る』 吉田修一 ***

ビール会社の営業課長、明良。部下からも友人からも信頼される彼の家に、謎めいた贈り物が?都議会議員の夫と息子を愛する篤子。思いがけず夫や、ママ友の秘密を知ってしまう。TV局の報道ディレクター、謙一郎。香港の雨傘革命や生殖医療研究を取材する。結婚…

『希望荘』 宮部みゆき ***

家族と仕事を失った杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開業する。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再…

『旅涯ての地―DOVE UN VIAGGIO TERMINA』 坂東 眞砂子 ***

13世紀、イタリア。元王朝クビライ・ハンに仕えたマルコ・ポーロ一族がヴェネチアに帰郷したとき、行の中に宋人(チャイナ)と倭人(ジパング)の血を引く奴隷がいた。名は夏桂(カケイ)。密貿易に失敗した彼は奴隷に身を堕とし、マルコたちに買い取られたのだっ…