『旅涯ての地―DOVE UN VIAGGIO TERMINA』 坂東 眞砂子 ***

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13世紀、イタリア。元王朝クビライ・ハンに仕えたマルコ・ポーロ一族がヴェネチアに帰郷したとき、行の中に宋人(チャイナ)と倭人(ジパング)の血を引く奴隷がいた。名は夏桂(カケイ)。密貿易に失敗した彼は奴隷に身を堕とし、マルコたちに買い取られたのだった。その運命は、偶然手にした一枚のイコンによって、大きく流転する。イコンは当時、邪淫と呼ばれたキリスト教・異端カタリ派の所有するものであり、それはキリストの「聖杯」でもあったのだ。そして夏桂はカタリ派の謎の女伝道師マッダレーナに導かれ、信者たちの隠れ住む「山の彼方」(ウルトラ・モンテス)へ。しかし、彼が命がけでもたらした「聖杯」の真実は、異端の村に大きな波紋を投げかけ、一つの村が、揺るぎないはずの信仰が音を立てて崩壊していくのだった…。
(「BOOK」データベースより)

2段組み550ページは長かった。それでもダレることなく読み終えることができました。ミステリーの要素も有り宗教の正統と異端、信仰とは何か、中世のヨーロッパを舞台にタルタル人の奴隷の視点とすることでリアルな物語になったと思う。