寛容なベテラン同心と厳正な青年同心の衝突を軸に、市井の人々の運命の転変をつづる端然として豊饒な人情捕物帳の白眉。北町奉行所の勘八郎は見廻りの道すがら、見慣れぬ露地の裏店に通う少女、おみちの姿を目にする。おみちはどうも、切見世の客引きの中年男、富蔵の許をたずねているらしい。おみちを案じた勘八郎がおみちと富蔵のいきがかりを調べると、そこには意外な真相があって…。男と女、家族の情を描いた『その角を曲がって』など珠玉の五編を収録。（「BOOK」データベースより）
「醜女の深情け」などとは、冷たい人間と罵られた経験のある私でも女性に面と向かっては言えません。影に回っても言いません。それを主馬は……
2018-120
