『展望塔のラプンツェル』宇佐美 まこと ***

 

展望塔のラプンツェル

展望塔のラプンツェル

 

 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか―。(「BOOK」データベースより)

 

辛い内容なので途中で読めなくなりそうかと、でもなんとか読み終えることができました。児童虐待や行き場のない子供たちの姿が、余りにリアルなので心が痛みます。最後は宇佐美さんのやさしさが感じられて。これは宇佐美さんの作品のなかでも1、2位になるかと。

 

2019-154