『慈雨』 柚月裕子 ***

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警察官を定年退職した神場智則は、妻の香代子とお遍路の旅に出た。42年の警察官人生を振り返る旅の途中で、神場は幼女殺害事件の発生を知り、動揺する。16年前、自らも捜査に加わり、犯人逮捕に至った事件に酷似していたのだ。神場の心に深い傷と悔恨を残した、あの事件に―。元警察官が真実を追う、慟哭のミステリー。
(「BOOK」データベースより)

『殺人犯はそこにいる』が下敷きになっていますね。実際の警察にはこんな主人公はいなかったのですが、推理小説としては事件ではなく退職刑事の心理をメインにした構成で読み応えのあるものになったと思います。ちょっと良い人すぎますかねえ。『孤狼の血』は『仁義無き戦い』を咀嚼しきれていない感じがしましたが、本作はその点もクリアーしています。