『罪の轍』奥田 英朗 ***

 

罪の轍

罪の轍

 

 昭和三十八年。北海道礼文島で暮らす漁師手伝いの青年、宇野寛治は、窃盗事件の捜査から逃れるために身ひとつで東京に向かう。東京に行きさえすれば、明るい未来が待っていると信じていたのだ。一方、警視庁捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつける―。オリンピック開催に沸く世間に取り残された孤独な魂の彷徨を、緻密な心理描写と圧倒的なリアリティーで描く傑作ミステリ。 (「BOOK」データベースより)

 

 読み進めていくうちに、これは「吉展ちゃん事件」が下敷きだなと気がつきました。宇野寛治が逮捕され、刑事との攻防あたりまでは、面白いと思って読んでいたのですが、検事が頬を張って宇野寛治が変身するあたりから「えーっ!」と。逃亡し札幌に向かうころには、莫迦な寛治ではなく「スーパー寛治」に変身ですかと呆れてしまいました。

 

 

2019-171