2018-01-01から1年間の記事一覧

『しゃぼん玉 (新潮文庫)』 乃南 アサ ***

女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な…

『ほら吹き茂平』 宇江佐 真理 ***

隠居した深川の茂平は大工の元棟梁。いつの頃からか「ほら吹き茂平」と呼ばれるようになった。別に人を騙そうとは思っていない。ただ、いろんな癖の人をみて、ついつい言ったお愛想が思わぬ騒動を起こすのだ。その日も、一向に嫁ぐ気のない娘の相談に来た母…

『来なけりゃいいのに』 乃南 アサ **

「仕事は半人前のくせに、口ばっかり達者になって」ベテランOLの多恵子は鬱々としていた。OA化に伴い仕事が減少、若いOLたちに疎んじられる日々である。が、そんな彼女を部長の一言が変えた。「彼女らを指導してやってくれ」俄然、発奮した彼女は活気を取り…

胡散臭い人たち

ある日、満面に笑みをたたえた女性が二人我が家にやってきました。「あなたは一人住まいで65歳ですね」年寄りの住まいに来ていきなりなんでしょうね。「心配事や体の具合の悪いところはありませんか?」こちらの話は聴いていませんが勧誘ではありません。 怪…

『護られなかった者たちへ』 中山 七里 *

仙台市の福祉保健事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を奪われた状態の餓死死体で発見された。三雲は公私ともに人格者として知られ怨恨が理由とは考えにくい。一方、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。三雲の死体発見から遡るこ…

『甘露梅―お針子おとせ吉原春秋』 宇江佐 真理 ***

遊廓でお針子として働きはじめた町家の女房が出会った、哀しくもやさしい恋。心の色艶を描かせたら当代随一の女流作家による、本当に「読ませる」時代小説。(「BOOK」データベースより) 2018-145

『絵金、闇を塗る』 木下 昌輝 ***

江戸末期に土佐に生まれ、幼少より絵の才能を発揮し、狩野派の技法を信じがたい短期間で習得した天才絵師―通称“絵金”。免許皆伝を得て帰郷し、土佐藩家老のお抱え絵師となるも、とある事件により追放される…。市川團十郎や武市半平太、前村洞和など、その絵…

『異郷のぞみし-空也十番勝負 青春篇』 佐伯 泰英 ***

五島列島の野崎島を後にした坂崎空也は、帆船肥後丸で対馬に辿り着く。岬で高麗の国を望みながら、渋谷眉月に想いを馳せていた空也は、対馬藩の重臣に声をかけられる。島での武者修行を許された空也だったが、領内に停泊している高麗船への同行を求められ―。…

『善魂宿』 坂東 真砂子 ***

天鏡峠に連なる山襞の合間に建つ合掌造りの一軒家。かつては蚕を育て暮す大家族がいたこの家に、今では母と息子がひっそりと暮らしている。道に迷った旅人たちは、一夜の宿と引き換えに里の話をとせがむ母に促され、それぞれの人生を語り始める―。彼岸に日金…

『天下 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

将軍家斉が襲撃されたばかりの大奥に不審な二人のお末が入った。立花併右衛門は衛悟と瑞紀に素性を探らせる。大奥の主は初の外様出身の御台所茂姫。実家の藩主島津重豪は親藩入りを画策する。お末たちは死をもおそれぬ薩摩の忍・捨てかまりか。権をめぐる暗…

『墨痕 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

鷹狩りで将軍を護った柊衛悟は、念願の立花家婿入りが決定的に。両家は加増に浴すも、併右衛門は奥右筆でいられるのか。復権に執念を燃やす定信は幕府転覆を狙う京からの刺客と手を結ぶ。異例ずくめの大奥での法要が実現、読経する闇の僧たちが将軍の前で牙…

『決戦 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

かなわぬ。隙がない―宿敵冥府防人との生死を賭けた闘い。あらゆる忍を退けてきた最強の相手を倒さねば、衛悟は婚礼を前にした瑞紀のもとに帰ることはできない。義父併右衛門や師大久保典膳の助力は届くのか?そして将軍位をめぐる骨肉の争いの決着は!?大人気…

『刃傷 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

「この間の遺恨覚えたか」と、衛悟のいない江戸城中で刺客に斬りつけられた併右衛門は、脇差で受けるも鞘が割れ、白刃をさらす。殿中法度にふれたと目付に捕らわれ、切腹、お家断絶を覚悟する併右衛門。筆で生きてきた奥右筆に、危難から脱出する秘策はある…

『隠密 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

一族との縁組を断り、松平定信を敵に回した立花併右衛門。だが愛娘瑞紀はなんと縁談相手の旗本家に掠われてしまう。そして定信は将軍家斉の暗殺未遂事件の黒幕探しを併右衛門にあえて依頼する。併右衛門をかばい手裏剣を肩に受けた衛悟に殺到する刺客たち。…

『秘闘 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

立花家の一人娘瑞紀にもたらされた格違いの婿取り話。糸を引くのは奥右筆組頭を手駒にしたい松平定信か。苦悩しつつも立花併右衛門は、将軍継嗣最大の謎、家基急死事件の驚くべき真相に迫っていた。そして定信憎しの一橋治済は、謀殺の命をついに冥府防人に…

『春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る』 宇江佐 真理 ***

幕府小普請組に属する村椿五郎太は、西両国広小路の文茶屋で代筆を内職とするかたわら、学問吟味に合格し御番入り(役職に就くこと)を狙っている。そうすれば将来を約束している娘・紀乃との仲も許されるというものである。代書屋に持ち込まれる騒動、紀乃と…

『召抱』 上田 秀人 ***

復権を狙う松平定信は、奥右筆潰しを画策。しがない武家の次男柊衛悟にありえない新規召し抱えの話が。併右衛門の一人娘瑞紀との婚約も消滅してしまうのか。筆を武器とする奥右筆の虚を衝かれた併右衛門に、幕府転覆を企てる闇の僧兵らも襲いかかる。人気爆…

『大家さんと僕』 矢部 太郎 ***

第22回手塚治虫文化賞短編賞受賞! 1階に大家のおばあさん、2階にトホホな芸人の僕(カラテカ・矢部太郎)。 一緒に旅行するほど仲良くなった不思議な「2人暮らし」の日々は、 もはや「家族」! ?大切な人をもっと大切にしたくなる、 泣き笑い、奇跡の実話漫画!…

『ピエタ』 大島 真寿美 ***

18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で“合奏・合唱の娘たち”を指導していた。ある日、教え子のエミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。一枚の楽譜の謎に導かれ、物語の扉が開か…

『前夜 奥右筆外伝』 上田 秀人 ***

奥右筆組頭に出世し幕政の闇にふれることになる立花併右衛門も、病弱な妻と幼い瑞紀を抱える無役の小普請だった。併右衛門の盾となる隣家の次男柊衛悟は、剣の道も己の将来も壁にぶちあたり、もがいていた。衛悟の仇敵冥府防人、冥府防人を使役した権の亡者…

『簒奪 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

権の魔に魅入られた者の業は深い。将軍家斉の父一橋治済、執政から外れた松平定信、御三家の一角水戸徳川家。将軍位簒奪を狙う暗闘は熾烈を極める。幕政の闇を知る奥右筆組頭立花併右衛門と危地を潜ってきた柊衛悟に、破格の婿入り話が。二人の絆もこれまで…

『継承 奥右筆秘帳』 上田 秀人 ***

将軍家斉の四男敬之助が急逝し、尾張徳川家は後継を失う。思惑渦巻く江戸城を震撼させたのは、神君家康の書付発見という駿府からの急報だった。真贋鑑定を命じられた奥右筆組頭、立花併右衛門は、衛悟の護衛も許されぬ覚悟の箱根越えに向かうのだが!?注目度…

『星夜航行 下巻』 飯嶋 和一 *

秀吉の明国と朝鮮への野望は誰にも止められない。小西行長ら秀吉吏僚の隠蔽工作は国と民を泥沼の地獄へと導いていく。沢瀬甚五郎も否応なく渦中に巻き込まれた。 (「BOOK」データベースより) タイトルに惹かれて読み始めたのですが、普段は読まない歴史小…

『星夜航行 上巻』 飯嶋 和一 *

三河を二分した内乱の時、父が徳川家に弓を引いたため、逆臣の遺児として農村に逼塞していた沢瀬甚五郎は、祖父より剣や騎馬術、鉄砲術などを叩き込まれていた。傑出したその才覚は家康家臣の知るところとなり、嫡男、徳川三郎信康の小姓衆に取り立てられた…

『侵蝕』 上田 秀人 ***

将軍家斉の御台所茂姫の輿入れから八年。時ならぬ外様薩摩からの大奥女中お抱えの報せに、奥右筆組頭 立花併右衛門は不審を抱いた。禁制の密貿易発覚を恐れる薩摩藩は、併右衛門暗殺に奔る。護衛役の柊衛悟を襲う無敵を誇る示現流の猛者たち!幕政の闇を衝く…

『火影に咲く』 木内 昇 ***

幕末の京を駆けた志士と、想いを交わした女たち。彼らが生きた、かけがえのない一瞬を鮮やかに描き出す珠玉の短編集。(「BOOK」データベースより) 残念ながら幕末物には興味がないのですが、「想いを交わした女たち」が工夫なのでしょうかねえ。最近の著作…

『桜雨』 坂東 眞砂子 ***

東京の小出版社に勤める額田彩子は、幻想絵画集の出版準備をすすめる中、一枚の絵に出会った。闇の中を渦巻いて立ちのぼる朱色の炎、火の粉と共に乱舞する桜の花びら、描かれたふたりの女―。絵に魅せられ、その謎を追う彩子の前に、当時を知るひとりの老女が…

『一発屋芸人列伝』 山田ルイ53世 ***

それでも、人生は続く。不器用で不屈の人間たちに捧げる、涙と笑いのノンフィクション!雑誌ジャーナリズム賞作品賞受賞。(「BOOK」データベースより) まちがいなく本人が書いていることは文章からわかります。でも、もう少し手を入れた方がよくありません…

『密封』 上田 秀人 ***

立花併右衛門は江戸城の書類決裁に関わる奥右筆組頭。権勢を誇った田沼意次の孫意明の死亡届を見て、十二年前の田沼意知刃傷事件に疑念をはさむ。その帰路、何者かの襲撃を受け、隣家の次男柊衛悟を護衛につけるも、二人はすでに幕政の闇の渦中にあった。読…

『敦盛おくり: 新・古着屋総兵衛 第十六巻』 佐伯 泰英 ***

交易船団はバタヴィアでオランダとの直接交易に入ろうとしていた。最新型巨大帆船の発注について信一郎は大きな選択を迫られる。一方江戸では、平十郎が長屋前で、総兵衛が本庄邸訪問帰途、それぞれ正体不明の侍に囲まれた。きな臭い予感に大黒屋は包まれる…